アメリカが中国への制裁措置として実施する追加関税。
世界経済に大きな影響を与えることは必至だと思います。
わたしのような日本の一般庶民にはさほど影響が出ないだろうと踏んでいたところ、以下引用のニュースが流れ、ぞっとしました。
アメリカは、中国への制裁関税の第4弾として、およそ3,000億ドル、33兆円相当の輸入品に最大25%の追加関税を課す計画を正式に発表した。
~中略~
アメリカ国内で販売されている自転車のおよそ95%は、中国からの輸入品。
制裁が発動した場合、関税は価格に上乗せする以外、方法がない。
引用:Yahoo!ニュース「対中措置なのに…困るアメリカ消費者 自転車値上がり必至」
この追加関税のニュースを自転車を例に挙げて報じたのです。
フジテレビ系のニュース番組でも放映され、その映像の画面ショットがこれ。
MTBやグラベルロードなどで日本でも熱いメーカー「JAMIS」の自転車が写ってるではないですか!
フレームにもタイヤにもしっかりと「MADE IN CHINA」の文字。
制裁が発動した場合、関税は価格に上乗せになる見込みだそうです(汗)
と、これはアメリカでの話。
日本で購入するアメリカの自転車は、その自転車を生産した中国の工場から直接日本に入ってくるため、この追加関税の対象にはなりません。
だから日本のサイクリストには影響がない。
わたしはそうは言い切れないと思っています。
トランプ大統領は、企業にアメリカ国内での生産を推進しています。
そうは言っても自国の工場で製品を作っていたのでは、生産コストが跳ね上がってしまいますので、実現は難しいでしょう。
そこで各メーカーは中国から他のアジア諸国へと生産拠点をシフトする傾向が表れています。
中国で作るよりも生産コストはかかりますが、品質的には向上することが予測されます。
このようなシフトチェンジで影響が出そうなのがエントリーモデル。
安さが魅力の製品群なだけに、その生産拠点が変わることは、少なからず値上げにつながる要因であるといえます。
今回の追加関税はどのような製品に影響が出るのか。
アメリカの主要自転車メーカーについて、生産国をまとめてみました。
タイヤなどパーツ単位になると調べきれないため、あくまでもフレームや完成車のレベルにとどめます。
アメリカの自転車メーカーと生産国
アメリカの三大自転車メーカーと言えば「CANNONDALE(キャノンデール)」「SPECIALIZED(スペシャライズド)」「TREK(トレック)」ですよね!
日本でも非常に人気が高く、これからロードバイクを購入しようと考えている方にとって、価格の変動は気になるとことだと思います。
その他、アメリカの主要な自転車メーカーについて、生産国を調べてみました。
CANNONDALE(キャノンデール)
カーボンキラーと称されるアルミロードで人気を博したCANNONDALE。
CAADシリーズは大ベストセラーとなりました。
そんなCANNONDALEですが、残念ながら生産国は中国を主としたアジア諸国だそうです。
現在は他のメーカーと同じように生産を台湾中国など海外に移転
~中略~
キャノンデールの自社フレーム生産は終了し、アジアへの外注生産に完全移転も決定
引用:Wikipedia「キャノンデール」
エントリーモデルは中国で生産。ハイグレードモデルは自転車生産大国である台湾で生産。
各メーカー、この形をとっているのがほとんどのようです。
CAADシリーズはエントリーモデルに位置づけられますので、おそらく中国。
SYSTEMSIXのようなレース用モデルは台湾を使っているものと思われます。
従って、CAADシリーズなどは追加関税で仕様変更や価格改正が行われる可能性もある!?
SPECIALIZED(スペシャライズド)
各種レースなどでも多く活躍し、様々な栄冠を手にしてきたSPECIALIZED。
プロユースのみならず、エントリーロードやキッズバイクまでをも手掛ける言わずと知れた大手メーカーです。
そんなSPECIALIZEDが財務危機に陥った際、助けを求めたのが台湾のメーカーであるMERIDA(メリダ)です。
現在もMERIDAとの関係は続いており、多くの車種は台湾で生産されている物と思われます。
財務危機の打開のため、当時フレームの生産を委託していた台湾のメリダ・インダストリーに株式の49%を30百万米ドルで譲渡。しかし、マイク・シンヤードが引き続き筆頭株主およびCEOとして会社に残り、独自経営は保たれた。以降もメリダとの関係は続いており、スペシャライズドのサプライヤーとして各種製品の製造を担っている。
引用:Wikipedia「スペシャライズド」
しかし、エントリーモデルは中国製のものがあることを確認しています。
他メーカーを含め、20万円以下のモデルはほぼ中国製ということで考えて良さそうです。
TREK(トレック)
独自開発のOCLVカーボンやALPHAアルミなど独創的な技術が魅力のTREK。
現代のロードバイクの流行を作り上げてきたメーカーだといっても過言ではありません。
そんなTREKの生産事情はこうです。
ハイエンドフレームは本社のあるウィスコンシン州ウォータールーで製造され、ウィスコンシン州ホワイトウォーターで組み立てられる。ミドルレンジから下の大部分のモデルは台湾、中国にある工場でTREK USAのエンジニアによる設計、クオリティコントロールの元で製造される。
出典:Wikipedia「トレック・バイシクル」
MADONEのようなハイエンドモデルはアメリカの自社工場で生産、ミドルレンジ以下のモデルは台湾や中国で生産しているとのことです。
ミドルレンジ以下という境目がわかりませんが、ÉmondaやDomaneのアルミモデルは台湾・中国での生産でしょう。
ちなみにわたしのÉmonda ALR5(2019年モデル)にはしっかりとMADE IN CHINAのシールが張られています(汗)
Émonda ALR5についてはインプレ記事も書いていますので、ご興味があればご覧ください。
JAMlS(ジェイミス)
ビーチクルーザーのメーカーとしてスタートしたJAMlS。
オフロードに強く、MTBやグラベルロードなど、魅力的な製品を多く世に送り出しています。
冒頭に引用したニュース記事の通り、JAMlSの自転車は主に中国・台湾製となります。
以下、Wikipediaにもそのことが記されています。
主に中国と台湾で生産されている。
引用:Wikipedia「ジェイミス」
ニュースでは中国製として扱われていましたが、台湾製の可能性もあります。
他メーカー同様、ハイエンドモデルは台湾にて生産しているのではないでしょうか。
GT ジーティー
MTBやBMXで世界的なシェアを持つGT。
実は経営はCANNONDALEと同様で、生産国は中国を主としたアジア諸国です。
FUJI(フジ)
クロモリロードやグラベルロードが魅力的なFUJI。
え?日本のブランドじゃないの?
そうなんです!
FUJIは元々は日本の自転車ブランドでしたが、アメリカに拠点を移し、吸収合併などを経て、現在はアメリカのブランドです。
FUJIも残念ながら基本的には台湾か中国にて生産。
ニュース記事にある「約95%が中国から輸入」という言葉に偽りはないようです。
買い時はいつなのか
追加関税は実際に発動するかもわかりません。
また、発動するとしてその時期も不透明。
そんな中、アメリカの自転車メーカーがそれを予測し、新モデルの生産ラインや価格・仕様をどう調整してくるか。
何も変わらないかもしれない。
生産国の変更などにより自転車生産のトータルコストに大きな影響が出るかもしれない。
ということは…
買い時は今?
多くのメーカーがニューモデルの投入を行う秋を待たず、現在購入できるモデルの在庫がなくなる前に買ってしまうのが吉なのではないでしょうか。
それは蓋を開けて見なければわかりませんが(汗)
まとめ
各メーカーは製品のグレードなどにより生産国を分別しています。
ニュース記事のJAMISの自転車のように車体に生産国が明記してある場合があるため、欲しいモデルが特定されているのならその車体の実物をサイクルショップなどで確認してみると良いかもしれません。
なお、各メーカーの公式サイトやカタログには生産国の記載はありませんでした。
各製品に付属する取説には生産国の記載があると思いますので、ショップやそのモデルを保持しているユーザーに直接聞いてみるのも手だと思います。
現在、中国で生産されているモデルは、価格や仕様が変更される可能性がある!
ということで結論とさせていただきます。
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